高齢者介護におけるストーマの管理と問題

要介護状態の高齢者の中には、さまざまな事情からストーマを造設している方々がいます。ストーマの管理は、一生涯にわたって行わなければなりません。しかし、歳を重ねるごとにセルフケアが困難になっていくという問題があります。そのため、普段から介護に携わっている近親者や介護士は、高齢者ならではのリスクを考慮したうえで適切にサポートしていく必要があります。

例えば、高齢者の皮下脂肪が著しく減少している場合、ストーマを造設している周囲の皮膚組織に炎症が発生しやすくなります。また、脳機能が低下している高齢者の場合、不衛生な状態のまま放置するケースも多いです。その他にも色々な要因が複雑に絡み合い、ストーマの管理に支障をきたす恐れがあります。介護士は高齢者1人1人の個別性に着目し、きめ細やかにケアする心構えが大切です。些細な変化を見逃さず、いち早く認知症のサインに気づかなければなりません。

認知症の進行に伴い、ストーマのケアだけでなく、ありとあらゆる介護の場面において多大な労力が必要になります。同時に、高齢者のQOLが急激に低下し、自分らしく生活することが難しい状態に陥りやすいことも考えられます。暮らしを共にしている近親者や介護士それぞれが緊密に連携して情報を共有することで、高齢者のQOLの低下を予防することも可能です。合わせて、障害年金や日常生活用具の給付券などの社会的・経済的支援の活用を機に、よい方向へとつなげられるでしょう。介護に関わる人達による多角的なアプローチが高齢者のストーマ管理に不可欠です。